全般的にネタバレを含むので閲覧注意

はじめに

まず、ストーリーについて考察をはじめるにあたって、前作との時系列の検証は後にし、「ナナシノ或プリ」は「ナナシノゲエム」「ナナシノゲエム目」の後の時系列である前提で話をすすめる。ゲエムの感染媒体がスマートフォンであることから2000年以後の物語であることから疑う余地はあまりないのだが、今回のノロイの源泉となるゲエムが「1988年」という日付を基軸にしているため、できるだけ明言は避けたい。ただ、ゲエムに関わる日付がゲエムの時間、メエルの時計などに強い影響を与えているから、それらが現実世界の日付を上書きしているのである、などといった推測の可能性は残しておきたい。

(追記)「ナナシノ或プリ」事象発生の時間軸について

やはり「ナナシノ或プリ」によるノロイは2012年以後に発生することが確定された。これは、ゲエムの開始時にnOS7から送られてくるメールがアプリをダウンロードもしくは起動した日時になるためである。最も早かったiPhone版の配信開始が「2012/01/26」だったため、ユーザが時計をいじるなど意図的な行動を取らない限りは、必ず2012年以後が「ナナシノ或プリ」のプレイ可能な日付として存在しうることになるためである。さまざまなプレイヤーからのメールが発生の日時を問わず1988年になるのは、やはり今回のノロイがその年に何らかの理由で相当なこだわりを持っていることから来ているものと推察される。

ナナシノネンピヨウ

ノロイハコウシテウマレタ...

焼け落ちた民家と、倉庫で発見されたゲエム

今回は、冒頭の理由もあいまって、時系列による検証が非常に難しい。しかし、断片的な情報をもとに、有り得そうな流れを考えてみる。諸々検証が必要だが、事実ベースでありそうな流れを推測という名前の嘘で塗り固めてみる

1974年

  • イズミ兄妹生まれる。早くに母親を病気で亡くし、父親は失踪。おそらく両親のものと思われる湾岸沿いの地区の民家に住んでいたが、どのように生計をたてていたかは不明。庭にはブランコがあった。

1988年

  • ノマが湾岸沿いの倉庫1の管理スタッフとして働く。妻のサトコも同じ職場で働いていた?
  • イズミ兄妹がなんらかの形で一般的なゲーム機とゲームソフトを手に入れ、プレイする。2

1988年7月4日

イズミ兄妹の生活していた家で火事発生。アカツキ兄妹は焼死し、民家の様子を見に行ったノマの妻サトコも焼死。ノマ、現場を見てルグレを発生させるほどのノロイを抱く。

  • 民家の遺物は同じ土地の持ち主の近隣にある、ノマの働いていた倉庫に移された。その後倉庫は十数年閉鎖される。密閉された倉庫の中で、行き場のないノロイは倉庫のゲエムの中に乗り移った。

2004年

倉庫が土地ごとユタソフトの湯谷の手に渡る。倉庫の封印が16年ぶりに解かれてしまう。

  • 湯谷、自分のことを「兄」と呼ぶオリベ シュンに、焼け跡から収納されたあと倉庫に十数年保管されていたゲエムの解析を依頼した。
  • 開発中のゲームをプレイしていたユタソフト社員が慈急総合病院に運ばれ、次々と不測の事態に陥る。
  • ユタソフト社員が不測の事態に陥った背景にはさまざまな原因が考えられるが、生田潮が焼け跡のゲエムのゲームをベースに「LOAD TO SUNRISE」を開発した3ことから派生した様々な不幸な出来事が関係している可能性がある。
  • 慈急総合病院で重大な医療事故が発生し廃院4
  • 同時期、経営不振だったところに経営陣と開発者とのいさかいも影響し、ユタソフトの経営が破綻。
  • この頃からゲームによる呪いが始まった5
  • ユタニ死亡。生田潮廃人化。
  • ユタニの死後、大山か川越と思われる「教授」からシュンに電話で問い合わせが入る6
  • その後、シュンもなんらかの理由でノロイに近づきすぎ、ゲエム内での発言能力を奪われる7 8

2008年

南都大学の学生の間でも、「ノロイノゲエム」が流行し始める。9

  • 学生の間では「呪いのゲームをプレイすると一週間以内に死ぬ」「そんなのただの噂だよ」「ゲームで死ぬわけないじゃん(笑)」と噂になる。ノロイの発生は一般的には認知されておらず、都市伝説のひとつとして人々の間に広がっていった。

2008年8月1日~8月8日(ナナシノゲエム時点)

情報の結晶化説をとなえる南都大学社会学部現代社会学科准教授の大山法基が、主人公(またはヒロイン)を無理やり「ノロイノゲエム」に関する事件の調査に巻き込む10

  • 結果、「ナナシノゲエム」おけるノロイを確認。
  • この前後に主人公の先輩、尾高および恋人の長澤リコも事件に巻き込まれ死亡。
  • 大山法基、自らを実験台にしてルグレ化。

2009年

いったんは中断した「ノロイノゲエム」の配信が再開される。11

  • 「ナナシノゲエム目」の主人公、南都大学人文学部文化人類学科の川越教授が主催する「不可視事象研究会」というオカルトサークルに入会させられ、レンやユウトと知り合う。
  • この頃、私立南都陽光学園に通うアカネ・ケンタ・ナオキらが生存不詳に。

2009年8月27日~9月2日(ナナシノゲエム目時点)

オダカのマンションの調査を契機に、ノロイの再発を確認。

  • 調査を通じてノロイの自我(カオナシ)発生。
  • ホーキ、自らの意思での領域横断を身につける12
  • ユウト、ホーキと同様にルグレ化。レンは・・・

2012年前後

LOAD TO SUNRISEもしくはその「元」となったレトロゲームが何らかの版権処理の結果、最新の「n.OS7」で起動するスマートフォンに移植される。13

  • ゲエムの中に封じ込められていたノマのノロイがネットワークおよびTwitterを通じて、「或プリ」として一気に拡散しはじめる。
  • この時点でのノマの生死は不明だが、ゲエムの中にいることからルグレ化していることは予想される。
  • なお、ナナシノゲエムに登場した白ユタニ、赤ユタニとは別の「黒ユタニ」が、ノマのノロイによりルグレ化され、ゲエムマスターとして全てのノロイノゲエムを管理している14。また或プリを起動した人物を、ノロイノゲエムのプレイヤーとして案内する役割も担っている。
  • ホーキ、好奇心で遊びに来て、それらのプレイヤーの動向をこっそり観察&研究するためか、ゲエムマスターのユタニの飼い犬のふりをして潜り込む。

2012年1月26日以後(ナナシノアプリ)

本作のプレイヤー(主人公)、とある日時15以後にノロイノゲエムに感染。ゲエムの中に取り込まれる。

  • 火事が発生する前にゲエムをプレイし、死後も悔悟の念でさまよっていたイズミもゲエムの中に引き寄せられ、偶然プレイヤー(主人公)と親しくなる。
  • ノロイが終わるまでゲーム内をループ。ノロイハオワラナイ。

年表完成への道

  • ノマはルイーズ野間と別人物だとして、ユタニは同一人物かどうか? -> ユタニが同一人物とすると、「会社」の最後で、「ゲームに殺される」と血まみれの状態で登場しており、バグの中に飲み込まれていった描写を考えると、そのままゲームに操られて生田家を襲ったと考えることができる。一応「ナナシノゲエム」の最後で動機を喋ったとはいえ、あまりにも人を殺すには不可解であったが、ゲームに操られていたと考えれば、ある程度は納得が行く。
  • イズミ兄妹の住んでいたのは一軒家か倉庫か? -> オリベシュンのメールにより、イズミ兄妹が住んでいたのは一軒家であり、また別の描写でノマが働いていたのが倉庫だとわかる。いずれも場所は湾岸沿い。双方の土地は同じ所有者が管理しており、場所もそう遠くなかったと思われる。
  • 本作のノマはいつごろUTA-SOFTで管理スタッフとして勤務していたか?今は生きているのかいないのか? -> 生きているならアカネのように仮死状態かも。ただ、ノロイのあまりルグレと本人が分離してその後本人は幸せに外国人と再婚し、娘のルイーズをもうけたという可能性も。仮にすぐ再婚して1990年にルイーズ野間が誕生していた場合、ルイーズ野間はナナシノゲエムでノロワレタ当時18歳だったということになる。それはそれで、愛娘をゲエムのせいで失った現ノマの新たなノロイが発生してしまいそうだが…
  • オリベシュンのメールの日付は正確なのかそうでないのか? -> ノマのノロイにより歪められている可能性が濃厚
  • ホーキが「時間という領域」すら横断して過去を探りに来ている可能性はないか? -> 事実関係をつきつめると、ホーキは2012年もルグレとして元気に領域を横断しているようだ

仮に年表が正しかった場合の考察

  • 今回のルグレを見てわかるように、「ナナシノゲエム」のノロイよりも、「ナナシノ或プリ」のノロイは格段に弱い。これは、かつてのゲームはある意味「ゴールまで行けばクリア」という単純な取り決めがあり、それがノロイの浄化にも直接つながっており、そのノロイは深いものの、ノマの性格のようにロジカルで納得のいくものだった。
  • しかし、1988年当時の「焼け跡のゲエム」を生田潮が2004年にリバイズして新作として発売しようとした「LOAD TO SUNRISE」16は、娘のあさひのノロイを受けてはるかに理不尽で強固なノロイとなってしまった。しかし、大元のノマのノロイも焼け跡のゲエムが2012年に「スマートフォンアプリ」というかたちで移植されたことにより時を越えて復活し、いまはじめてプレイされたのであれば、この「ナナシノ或プリ」は「ナナシノゲエム ゼロ」とでも呼ぶべきものなのかもしれない。
  • 正直、このノロイを解くことが、「ナナシノゲエム目」で進化したノロイを打ち砕くヒントになるかならないかといえば、まったく別物で役に立たないであろう、というのが妥当なヨミとなるだろうが、その起源を求めることは、同時に本質に近づくことでもある。進化したとしても、そのゲエムの本質が遺伝子レベルでは進化していないのであれば、やはり何らかの方法によって、いかなるノロイも「攻略」されるべき宿命なのかもしれない―。